引き振袖 2015年01月26日
結婚式の花嫁衣裳でみなさんは何が一番好きですか。
私は和装の「引き振袖」が最も好きです。
そこで今回は、「引き振袖」のお話をひとこと。
「引き振袖」は、未婚女性の第一礼装の中でも
最も袖丈の長いもので「本振袖」、また、「お引きずり」とも呼ばれます。
‘‘引き‘‘とは、「おはしょり」をせずに、着物の裾を引いて着ることからきています。
昨今、人気の高い「黒引き振袖」は、江戸時代の武家の正式な婚礼衣裳で
昭和初期までは、白無垢や色打掛よりもよく着られていました。
お色直しに用いられることが多い本振袖は、
「あなたの家の色に染まりました」という花嫁の心と華やかな喜びを表しています。
また、黒引き振袖は、結婚式の後、袖を切って、「黒留袖」に仕立て直すことができるため、
着物にお金をかけられない人々にも重宝され、主流になっていったようです。
最近では、和装に洋髪のスタイルでの結婚式も多く
洋髪が似合うことからも、引き振袖が人気です。
お色直しの定番は、色打掛や、カラードレスですが、
ウエディングドレスで挙式をして
黒引き振袖にお色直しをされる方も多くいらっしゃいます。
もちろん、引き振袖にかつらをつけていただいて角隠しをするという
古典的なスタイルも、今なお人気を誇っています。
小物の選び方としては、白無垢の場合は白で統一しますが
引き振袖の場合は、ゴールドや赤など柄に合わせた色物を選びます。
半襟を刺繍や色の入ったものにしても、華やかさを演出すことができます。
和装にも、現代の感覚に合わせた様々なスタイルが取り入れられてきていますが
古くからの幸せへの願いは、一つひとつのアイテムすべてに息づいています。
それらに込められた意味を考えるだけでも、結婚式というものが
いかに特別で、多くの人々の想いが込められているかを実感できるのではないでしょうか。
喜びの意味をかみしめながら、おふたりらしいウエディングを実現してください。
スタイリスト 藤本